映画ドラゴンクエスト ユア・ストーリーの感想を思いつくままに書いた

キモオタの日記です。

事前情報から若干の不安を抱えつつも楽しみにしていた映画がついに公開されました。そしてその直後穏やかでない言葉があちこちで見られたため「ヘル・インターネット!」と内容のネタバレは踏まずにしかしお覚悟はしつつ見に行きました。両隣をカップルに挟まれてしまい始まる前から地獄感が出ていました。当時の私はドラクエデートムービーだと思っていませんでした。

冒頭、ゲームでよく見たような文字が流れてきます。なるほど、レトロな演出をすることで私のようなSFC版プレイヤーの記憶を刺激するのだろう、と思いました。(後から調べたら文字はFC版だったようです、何故…)そして懐かしくも新しい音楽が聞こえてきて──ゲーム画面だこれ。
グランバニアでの主人公出生シーンから始まるのですが、そのシーンがゲーム画面。ドットは打ち直しているのかもしれませんがほぼゲーム画面でした。なるほど、これも私の記憶に訴えかけていたのかもしれません。
でも、3DCGじゃ駄目だったんですか?というのが正直な感想です。ああいった画面を映画館で見るのは新鮮でしたが、あのキャラデザで見たかったかな…とちょっと思いました。それを覚悟して見に来ていたので。オタクはワガママ。
そこから始まるのは怒涛のリュカ幼少期編ダイジェスト。スキップ&スキップです。
私もさすがにこういった映画において尺の都合で巻き巻きされるのは慣れているため「まあ必要なことだ」と穏やかな気持ちで見ていました。
そして突然始まるヘンリーとの出会い。ヘンリー王子は可愛かったです。ヘンリーはあっさりとさらわれあっさりとゲマとジャミとゴンズがパパスと対峙する場面に移行します。幼少期編の終わりです。ジャミとゴンズ、グラがめちゃくちゃ良かったです。このジャミならえっち本でビアンカを寝取られても仕方ないみたいなクソ感想が出ました。パパスとリュカのあれこれはビアンカやゲレゲレとのあれこれに比べればまだ描写されている方だったのでわりと心に来るポイントではないでしょうか。山田孝之氏渾身の「ぬわーーーっ!!」を聞く羽目になります。つらい

そして奴隷編へ。石を運んで、ザ・奴隷といった感じで話が進んでいます。あっという間ですが。何作ってんだかよく分かんなかったです。神殿だよね?
ヘンリーの味付けは少し違和感のあるものでした(小説版の記憶が濃いことが理由だと思います)が、うんこ塗って職人の技が光るタルに入って奴隷窟から脱出するシーンは結構好きでした。
どれいの服でどれいつかい(でしたっけ?)と戦って欲しかったしヘンリーとの積み上げも足りないっちゃ足りないのですがこのあたりではさすがに「私の記憶と想像力を試されている」と補完を要求されているととらえていたので平気でした。平気ったら平気でしたおそらく。初見の方には辛そうな気がしましたがどうなんでしょうか。この映画は基本的にこちらで脳内補完をしながら見ていたので忙しかったです。

何やかんやあって酒場のマスタープサンに拾われヘンリーと別れ、へえへえしながらサンタローズに戻ります。このくらいから「ん?この絵面似たようなの見た気がする」という画面が増えていたように思います。背景が限られているというかなんといいますか…
何はともあれサンチョです。サンチョやこのあと出てくるルドマンは私にとって好みな感じでした。二人のファンにはこの映画をおすすめできるのかもしれません。
サンチョと再会しリュカはもだもだしながらも結局冒険に出かけます。ゲーム版ドラクエの無口主人公には淡々としたイメージを抱きがちなので、リュカがもだもだしているのは好みかどうかは置いておいて新鮮な気持ちで見られました。父親殺されて奴隷になってうんこ塗って脱出してやっとの思いで帰ってきてまた過酷な旅への出発を促されるのでそりゃもだもだするってもんですよね。

そして道中でスラりん(そう!あのプレイヤーの誰もが一度は見たであろうスラりんなのです!!)と大きくなったゲレゲレを仲間にして冒険を進めていきます。サラボナの街についたころにはそこそこ成長したリュカたち。流れるままにブオーン討伐クエストに出かけます。もともと現代的な言葉づかいをたくさんする内容(伝わりやすさを求めてだと解釈しました)なのですが、ここらへんで使われるクエストという言葉がやけに引っかかりました。ドラクエVにおいて確かクエストという言葉はゲーム内で使われていなかったように思うので、唐突に出てきたゲーム的言葉に驚いたのです。このクエストを達成すると〜みたいなセリフ、私にはかなりゲーム的に聞こえてしまったのです。

フローラと結婚できるぞぉと舞い上がりつつブオーン討伐に向かうもあっさり返り討ちにされたリュカはレヌール城を共に駆け抜けたビアンカと再会します。ついにビアンカかフローラかという緊張感が高まっていきます。フローラさんと結婚できるかもとアガっているリュカと明らかにリュカに気のあるビアンカビアンカ側のあれこれももちろんスキップされていますので脳内補完に頼ります。

このブオーン討伐、結婚話周辺は結構好きでした。尺を割かれてるなと思いましたし、ルドマンに人間味があって良かったです。ブオーンを仲間にしてるところも私は好きでした。リュカのまものつかいの一面がよく出ていたように思います。

フローラはモシャスだか変化の杖だかを使ってババアに化けてリュカから心を聞きだそうと自らの本心を知れる聖水をリュカに押し付けます。フローラ、イオナズン以外にそんなことができたんですね…ルドマン家の財宝のうちの一つとかなのかもしれません。
で、フローラを選ぶぞ!というじこあんじを聖水によって破ったリュカはフローラではなくビアンカと結婚するわけです。ん?あのゲームウィンドウの演出でじこあんじとは?ともちろんなります。すごくゲーム的な演出がされるわけです。リュカにとってフローラが初恋でそれが残っているとかそういうあれか?とそのときは思いましたが流しました。私は察しが悪く、ビアンカが可愛かったのでどうでも良くなったのです。フローラ退場は悲しかったですが、彼女も可愛かったので…あとルドマンが良かった…この疑問を流してしまったせいで私は後悔することになりました。

そこからビアンカとの冒険、蜜月の始まりです。さささーっと終わります。子供ができて、いよいよビアンカの出産──娘がいない。
ユアストは息子オンリーでした。なるほどね。尺やシナリオの都合なのでしょう。子供も生まれて幸せいっぱい、でも世界を守るためにまた旅に出なくてはと家族を守るという思いも積んでリュカは再び覚悟を決めるのです。

その矢先、ゲマに襲撃されます。やはりジャミゴンズゲマは良いですね。ゴンズのキャラクターがすごく好きでした。ジャミのイメージが強いのですが、今回でゴンズへ目線を向けられて良かったです。
そして夫婦の石化。当時プレイしたときコントローラーを投げた記憶があります。ゲマ、自分の好みに忠実で良い。

八年が経過し、息子のアルスがリュカの石化を解きます。アルスによって抜かれた天空のつるぎが強すぎて笑っちゃいました。アルスが父親のリュカに対して距離感があるのはよかったです。もしかしたらサンチョの教育がお上品だっただけかもしれませんが。そこからはまた怒涛の展開です。プサンことマスタードラゴンの元へ行き、なんやかやあってプサンを人型からドラゴンに戻すために妖精の国へ行くことになります。出発前に「ロボット」という単語が出てきました。プサンが「今回はそういう決まりだからロボットが妖精の国を守ってんの」とやたらとメタくさいことを強調して言います。私は察しが悪いため、「あーはいはい今回の映画版ではみたいなメタ発言ね」と流しました。後悔することになります。妖精の国、それまでに一切説明がない(もしかしたら冒頭のダイジェストにあったかもしれないけど覚えてない)のですごい唐突です。単純な私は「ベラチャンス!」と喜びましたがまあベラは出ませんでした。画面のはじとかにいたんでしょうか。

スラりんとキラーマシン(良かった)を掻い潜り妖精の国へと辿り着いたリュカは女王に助力を願います。願った結果、彼は過去に戻ることになるのです。パパスが生きていた過去へと。冒頭の時点であーこのオーブすり替えやってくれんのねと分かっていたのですがやはり嬉しいものです。リュカは過去の自分が持つドラゴンオーブを偽物のゴールドオーブとすり替えると現在へと戻ります。プサンマスタードラゴンへと戻せば、いよいよ決戦です。

マスタードラゴンのおたけび?で敵を蹴散らしながら上空にあがり、アルスがエクストリーム杖投擲でビアンカの石化を解きます。そこからマーサの元に向かいますが、彼女は「今回のミルドラース(ラスボス)は格が違う」というようなことを言い残して命を落とします。私は察しが悪いので「何か天空人に最初のミルドラースの様子が伝わってんだな」と流しました。後悔することになります。

そして死闘の末、ゲマを倒し──今回の映画、バギ系の呪文の出番が多くて嬉しかったです。SFC版のバギ系の演出が好きだったので──しかしゲマはマーサの力を取り込むと最後の力を振り絞り、魔界の門を開けてしまいます。しかたない、ここは言い伝えどおり魔界の門に天空のつるぎを投げ込んで封じるぜ!とブオーンにアルスを投げてもらいます。ちなみにこの最終決戦では、ヘンリー王子や仲間にしたブオーンが集まってきて皆で大決戦な感じです。まあそこまでの描写があまりないので「ああ〜!!皆来た〜!!!」みたいな感慨は薄めでしたがそれでも嬉しいものですね。

ブオーン選手とアルスの強靭な身体能力によって天空のつるぎは無事魔界の門へと吸い込まれていきます。私は察しが悪いので「いや〜マーサがああいってたしこっからまたミルドラース戦だな…これはミナデインきちゃうなさっき確かギガデイン使ってたし」とか思ってました。
とうさ〜ん!!やったよ〜!!アルスが落っこちてきます。リュカはそれを受け止めようとします。
すると、謎の白いボコボコが出てきて時が止まりました。
時が止まったのです。
私は察しが悪いので「な、なんだこれ…?こっからミルドラース戦だよな…?まさかリュカ一人で戦うのか?」とタオルを握りしめました。

私の知ってるミルドラースじゃない……

スタイリッシュなミルドラースが出てきたのです。私はドラクエスマホゲーとかやってないのですが、もしかしてそのあたりや11の隠しボスとかのミルドラースはこういうキャラデザになっているのでしょうか?
そしてそのミルドラース?は世界のありとあらゆるものを白いボコボコ、ポリゴンに変えバラバラにしていきます。ミルドラース?が処理を軽くしましょうとか言って世界を解体していきます。私はポカーンとしていました。理解が追いつかなかったのです。そしてミルドラース?が言います。「かつてドラクエVという名作がありました(うろ覚え)」
とんでもないメタ発言です。ミルドラース?がドラゴンクエストVの外にいる存在だと嫌でも理解させられました。

ミルドラースは天才プログラマーが作ったウィルスらしいです。ミルドラースウィルス。
そして続く一連のシーンで私は「私が今まで見ていたものはかつて私が熱中したドラゴンクエストVの世界ではない」こと、「私は私と同じようにかつてドラゴンクエストVをプレイしていた人物のVR体験を見させられていたこと」を突き付けられます。
そりゃスキップもします。プレイヤーの彼、リュカと呼びたくないので便宜上佐藤と呼びます、佐藤の選択ですから。佐藤がVRで体験したいと思った、おそらく彼の中で強烈に印象に残っていたシーンを選択したのでしょう。そりゃじこあんじもあります。今回はフローラにするって佐藤がそう望みましたから。そりゃロボットなんて単語が出てきます。佐藤がロボットと戦いたいと要望しましたから。
さらにウィルスの開発者様からのお言葉です。「大人になれ」
私は映画館で心が折れるという体験を初めてしました。

このウィルス出現シーンから私はずっと嫌な動悸が止まりませんでした。どう言葉にしていいか分かりませんがとにかく辛かったのです。
そんなウィルスに対して佐藤は俺の冒険や愛はは本物だ、みたいなこといって立ち向かいます。そういえばスラりんはなんとアンチウィルスでした。わー!スラりん!って喜びつづけていた私の察しの悪さ、愚かさを心底から呪いました。スラりんじゃねーもん。いい声したただのアンチウィルスだもん。私はアンチウィルス!みたいなスライムの自己紹介による追撃は見事折れていた私の心を粉々にしました。
アンチウィルスプログラムからロトのつるぎみたいなの生えてきて佐藤がウィルスぶったぎりました。ロトのつるぎて。ロトのつるぎ出したらオタクは喜ぶとか思われてんですかね。そしたらVR世界は元に戻りました。VRビアンカVRアルスと佐藤は微笑み合います。このへんもうあんまり覚えてないです。多分画面直視できてなかったんだと思います。

そして最後にYOUR STORYというロゴがドーン!!あなたの冒険は続く!エンドロールへ!

は?って思いました。あーなるほど、衝撃のラスト!ユアストーリー!ユアストーリー!君を生きろ!ガンバ!
いやこれ佐藤のVR体験物語ですよね?だったらもう最初にそう言って欲しかったです、佐藤についてもっと掘り下げてもらって(ベタですがすごいやり込みゲーマーだとか)、それからウィルスの「虚構www」に対して「冒険やら愛はほんもの」みたいなこと言ってもらえればまだ納得できたかもしれません。

私は愚かすぎてこの映画に向いてなさすぎて、ちょいちょい違和感を覚えながらも脳内補完をしながらもドラゴンクエストVの世界に息づくリュカたちを見られる、見ているなんて思い込んでいたからこんなにも辛かったのかもしれません。フローラを選ぶというじこあんじをかけた佐藤のこと笑えません。私が本当に馬鹿なことを痛感させられました。しんどいです。
私と佐藤のドラクエV体験記は違います。ようがんげんじんスライムナイトもベラも娘もえっちな下着もグリンガムの鞭も天使のレオタードもあとたくさんいろいろもいなくたってしょうがありませんよね。
そもそもタイトルにVなんて書いてありませんからね。私のミスです。私の愚かさが招いた苦しみの時間でした。

自分の大切なものを目の前で踏みつけにされてバラバラにされて、そのあとひょいっと直されて「はいどーぞ」されてわーい!ってなれません。私には無理でした。
すべてをクソだとは言えないです。特に出てきたモンスターの造形はすごく私好みで、素晴らしいものだったと思っています。

ゲームハードのアップデートが遅かった我が家ではスーファミは貴重なゲーム機で、私と兄は母がやっていたゲームたちをずーっと繰り返しやっていました。私にとって初めて触れたドラゴンクエストはVでした。そこから少しずつドラクエの世界を広げていきました。XIはすごく面白かったのでSも買いたいなと思っています。
ドラクエVは今スマホでも遊べます。SFCはもう眠りについてしまいましたので、大人になれなかった馬鹿な私はもう一度、リメイク版なりスマホ版なりでVをやろうと思います。